先日、あるお店に行ったときのことです。
用事を終え帰ろうとすると、お店の方が外まで見送りに出てくれました。

いやいや、そんな申し訳ない! 店内でサヨナラでよいですよ~、と思いながらもそこでモタモタするのもスマートじゃないよなと「お邪魔しました」的ニュアンスを言いつつ振り向きざまに軽く会釈をして、歩き始めました。
一歩二歩三歩四歩、五歩。
ちょ、ちょっと振り返るかな。
チラっ。

いた!
すかさず口角を上げ、3割増しの笑顔でペコリと頭を下げる私。
向こうもペコリ。
ひゃー、危なかった。振り向いてよかった。さ、帰ろう。
スポンサーリンク
てくてくてく。
てくてくてく。
てくて・・・、もうすぐ角だ。
そのとき、ぼんわわわわ~んと、
【こんなお客に心打たれる。長年旅館を営む女将の一言メモ】
「お客様をお見送りしたときに、何度かお客様が振り向いてくださると大変嬉しゅうございます」 |
過去に読んだ雑誌の記事がぼんやりと頭に蘇ってきました。
嬉しゅうございます
嬉しゅうございます
嬉しゅうございます
リフレインする女将の言葉。
ハッ!! こ、これもそうなのか!? でもそんな大金を使ったわけでもないし、まさかねぇ。
で、でも… ンギギギギギっと首を回転させました。
ふ、振り向くぞい!

い、いた!!!!
こちらを確認して、お辞儀してるぅ!
その距離、30mはあろうか。
すでに、互いに消しゴムサイズだ。
” なぜなの? 瞳に映るあのひとは小さくなるのに、存在感は膨れ上がる ”
なんてポエムってる場合ではない。
ならば、こちらも大きな動きをするしかあるまい。
フレミングの法則の中指よろしく腰をおり(90°)、どうもどうもとジェスチャーしつつ、ひょこひょこ見切れていく私。(優雅にかしこまったお辞儀をすればもっと良かったのでしょうが、場数が足りませんでした)
門を曲がり切った!
これであやつの視界から消えたぞい。(言葉のあやですよ。その方には大変お世話になりました)
気分は舞台袖です。
はぁぁぁぁっ。
振り向いて…、
よかった!!!(2回目)
そして思う。
向こうも「ヨッシャ」と思ってるのでは? と。
これね。お客が振り向いてもお店の人が店内に戻っちゃっていないパターンと、お店の人が見届けても、お客が振り向かないパターンもあるんじゃないかと。
だとしても、どちらも非があるとは思いません。みなさんお忙しいでしょうし。
けれど、これはこれで、舞台を演じきったような達成感がありました。
大げさですけどね。
本心は「作法知らず?のイナカモンにならずによかったぁ」です。(イナカモンは事実だけども)
こういった事が日常的にある人には、ごくごく当たり前のことなのでしょう。
私にはあまりない機会なので、良い経験になりました。
「振り向かないでもいいかな」とも頭をよぎったんです。けれど、振り向いて誰もいなかったところで、まっているのは「肩透かし感」だけです。ならば、頭に浮かんだことは実行してみるものですね。
これも「余韻」の効果なのか。3度の振りかえりで思い出が少し深まった気がします。でもまぁ、たまにでいいかなって気もします。常にこれだと疲れちゃうよー。