100年前にあった こころ揺さぶる言葉たち あなたも触れてみませんか

そこにある文字を ただ ただ 追って 感じてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

これらの文章は新宿区立 漱石山房記念館の展示室にパネルとして展示されている28点のうちの一部です。どれも真っ白なパネルに、その文章にあう書体と大きさ、レイアウトがされています。(少しでも空気が伝わればと寄せて画像を作ってみましたが、そこに展示されていたものには到底およびません)

読み進むほどに目頭が熱くなり、コインロッカーにハンカチを預けてきたことを後悔しました。

漱石のもつ、文の力に圧倒されました。紡いでいる言葉は美しく、簡潔でいて響きます。ここまで心を揺さぶられたことは、これまでなかったかもしれません。これらの前では、他のどんなすぐれたキャッチコピーも歌詞も色あせて見えます。

こんなにキャッチーな言葉を次々と編み出し、没後100年経った今も人の心に突き刺さすことができるなんて、漱石って名コピーライターじゃん!と思いました。

文がこんなにも人の心を打つとは。文は人を救うことができるのではないか。教養としてだけではなく、人生の為にこそ漱石の作品を読むべきなのではないか。

漱石が文豪と言われる所以。多くの人を魅了してやまない理由がわかりました。

本来ならば、自分で本を読み、浮かび上がった文章こそ大事にするべきなのかもしれません。けれど、今回セレクトされている28点のなかには、ひとに宛てた手紙もあり、小説を読んだだけでは拾えません。自分だけにとどめておくのはもったいないと、今回のブログで紹介させていただきました。

全てをご覧になりたい方は、是非、漱石山房記念館に足を運んでみてください。

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新宿区立 漱石山房記念館はこんな感じでした

いくつかルートがありますが、今回は都営大江戸線牛込柳町から歩いて行きました。徒歩15分ほど。複雑な経路はなく、迷うことなくスムーズに辿り着きました。

山房記念館は住宅地の中に溶け込むようなかたちでありました。入場料は一般300円。

2017年9月24日に開館した、まだ新しい建物です。

裏には漱石公園があります。ここでランチをしてもよいかなと思ってましたが、雪も残っており寒いので断念しました。

漱石公園にある猫のお墓。

かつて出会った漱石の生原稿

今回、漱石山房に行ったのにはある目的があったのです。

以前、夏目漱石の原稿をみる機会がありました。赤ペンでチェック(校正?)が入っていたので、カラーコピーでない限り直筆原稿だと思われます。

かつての文豪の原稿に触れる機会なんて(手では触ってませんよ。クリアポケット越しです。念のため)滅多にないので、少しでも当時の空気を味わえればとじっっっくりと見ました。

 

題名の下には「漱石」って名前だけ入れるんだぁ。夏目は書かないのね。

とか、

けっこう読みやすい文字を書いていたんだな。

とか、

こんな難しい漢字、辞書も引かずにサラサラ書けるものなのか。ルビを結構ふってあるな。

とか思ったわけです。

 

んが!

そのとき私を一番惹き付けたのは、漱石の文章や文字ではなく、

原稿用紙のデザインだったのです。

上部(いま風でいうとヘッダー部分)には2匹の龍が互いに向かいあい、その龍のあいだに篆書体(てんしょたい)で「漱石山房」の文字が右から左に横文字であしらわれています。その下にはラーメンのどんぶりでおなじみの四角い渦巻き、「雷文」が横一列に入ってました。

マス目もそのデザインと一体化されていています。

なにこれ!!おしゃれ!

と、一瞬でロックオンされてしまいました。

知らなかった、漱石ってお洒落さんだったんだ。

以降、私の漱石に対するイメージはこの原稿用紙になったのです。

その原稿用紙が手に入る!?

それから数年。ふと思いついてPCで「漱石山房」で調べたら、早稲田に「新宿区立 漱石山房記念館」なるものが出来、あの原稿用紙も館内のショップで売っているとわかりました。

これは漱石が呼んでいる!と、足を運んだ次第です。

あったあぁぁぁぁっ!

原稿用箋とメモ帳を購入。どちらも内税300円。

モノを買ってこんなにホクホクした気分になるのは久しぶりです。

この原稿用紙は漱石がデザインしたのではなく、橋口五葉がデザインしたもの。そういった「ひと・こと・モノ」を引き寄せるのも漱石の魅力あってこそなのでしょう。

橋口五葉は版画家、装丁家、装飾美術家。第五高等学校で漱石の教え子だった兄の貢に漱石を紹介され「吾輩は猫である」など初期作品の挿絵や装丁を任され、以後、行人にいたる漱石作品の装丁を行っています。原稿用紙のほかにインク壺もデザインしたそうです。

「篆書体・龍・雷文」どれも中国テイストです

篆書体とは会社名とか文字数が多い印鑑だと一文字ぐらい違っても誰も気づかないんじゃない?っていう、アレです。

「綺麗印影」さんという印鑑屋さんのサイトで篆書体について説明がありました。

古くから中国において印章の字体としてよく用いられていた書体「印篆」を基に作られた書体です。

引用:綺麗印影

古典文字がモチーフだとも書かれています。

 

「西山製麺株式会社」さんのサイトにはラーメン丼の図柄の意味が載っていました。

「雷文」

ラーメン丼のトレードマークと言ってもいい四角い渦巻き模様は、字の如く中国で自然界の驚異の象徴である雷をかたどった伝統の文様である。古くは中国の殷や周の時代の青銅器に多くみられた。

引用:西山製麺株式会社

 

篆書体・龍・雷文とどれも中国を連想させます。神奈川近代文学館に、この原稿用紙の木版版木、紙型が所蔵されていると購入した原稿用箋に書かれていたので、そこに行けばデザインそのものについての事がわかるかもしれません。

で、もちろん夏目漱石は読んでるんですよね?

・・・・・・・・・・・・えっ?なに?聞こえない(∩゚д゚)

えっとですね、読まなきゃ読まなきゃ読まなきゃと思っているうちに数十年が経ってしまいました。

「吾輩は猫である」は導入部だけ読んだような。(←読んだうちに入らない)

一作品も読んでないなんて恥ずべきことだとはわかっていますが、ほら、本て沢山あるでしょ。ほかにもやることあったし…。

そもそも生原稿をみたのも、漱石目的ではなく、多数の著名作家たちの原稿がファイリングされていたなかにあったからで。文学に明るくないので、他の作家名は覚えてませんが、それでも漱石の原稿だけは忘れず印象に残り続けました。

本来ならば10代20代の時に読み、その時でしか得られない感受性をもって作品を受け止めることがベストなのかもしれません。

しかし、大人になった今だからこそ受け止められるものがあります。原稿用紙から始まった点は、山房記念館の点と繋がり線となり、これから作品を読むことで面になっていくでしょう。それが私の漱石とのタイミングだったのです。

原稿用紙が欲しいが為だけに訪れた漱石山房記念館。こんなにも多くの刺激を受けるなんて想定外でした。

これから漱石作品を読む楽しみがあるなんて、ある意味贅沢です。さて、なにから読もうかな。

漱石山房記念館に携わるみなさまへ

最後に 今の世に おくります

 

 

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